キャッチコピーの手法(作り方)

ちょっとした営業ツールや販促ツール、店頭ポップなどでキャッチフレーズを書かなければいけない場合は多いと思います。漠然と考えてもなかなか良いフレーズが出てきませんが、いくつかの手法に則って考えると良いかも知れません。

これらは、よく、キャッチフレーズやコピーの本などで語られていることですが、コピーを書くという事が、単に文章を書くということと違う点は、コピーはこれらを駆使して戦略的に書くというところです。人間は、意識しなくても必ずロジカルに思考するのでそれにあわせて文章を提示し、導いていくという感じです。

もちろん、100%すべての人がこちらの思うようになるという事ではありませんが、一般傾向をもとに書いていくので、多くの人が、そのシナリオに従って思考し、その中から、購買までたどり着く人が出てくるということです。

その精度をどれだけ高めることができるかというのがマーケティングのノウハウになります。ですからコピーだけでなく、マーケティング全体がひとつのシナリオを持っていないと精度が高まらないことがお分かり頂けると思います。

●法則-1:質問する

「○○○をご存じですか?」という素直なものから、「まだ○○○をやっているんですか?」という脅迫タイプまで質問形式は興味をこっちにむけるキャッチフレーズとしてよく使われるパターンです。

人間は、質問されると無意識にその質問について考えてしまうんです。つまり興味を持つと言うことです。ただし、脅迫タイプなど、書き方によっては「大きなお世話だよ」と反感を持たれる場合があるので注意が必要です。上手に聞くと、自然にこうちらに耳を傾けてくれます。

これは営業トークとしても使えます。そもそもキャッチフレーズは営業トークですのでね(^^)

●法則-2:限定する

「今だけ○○円のご奉仕です」
「タイムセール、15時まで!!」
「残りあと100個です。お見逃しなく!」
「1回限りの限定生産です。お見逃しなく!」
など、何かを限定して呼びかけるのも常套句です。

限定してチャンスの価値を上げると言うことです。
裏返して言えば、この機会を逃すと損しますよという言い方です。

人間は、トクすることより、損したくないという気持ちの方が強いものです。だから、これもある種の脅迫のようなものです。

それと限定することで、話を分かりやすくする効果もあるのです。
分かりやすさも興味も持つ大きな要因になります。

●法則-3:話を切り替える

「さて、〜〜〜〜〜〜」
「ところで。〜〜〜〜〜〜〜」
のように、これから違う話をしますよという言い方も注意喚起でよく使われます。

タレントの浜村淳さんが「さてみなさん」という常套句がトレードマークになっていましたが、注意をこっちにむけるのに効果的な話し方です。

このように切り出されると人間は、え?何の話が始まるの?と無意識に思ってしまって耳を傾けてしまいます。しかも、今、あえてそうやって切り出すのだから価値のある話に違いないという風にも思うのです。逆に言えば、人間は、重要な話をするときにそういう切り出し方をするのです。

この切り出し方にさらに質問や限定などを組合わせるとさらに強力になる場合があります
「ところで、明日朝9時から、○○○が500個だけ販売されるのをご存じですか?」
というような具合です(^^)

●法則-4:意外な事実を提示する

その昔、サンヨーコートのCMで「春は3日に一度雨が降ります」というキャッチフレーズがありました。

それを聞くと「へえ〜、そうなんだ」と思います。しかも、「そういえば、そんな感じがする」という共感も生まれます。大きな事ではないけど、ちょっといい話を聞いたなあと記憶に残ります。誰かに言って見たくもなります。このキャッチフレーズが良いのは、さらにビジュアルイメージが伴うことです。

だからレインコートのひとつも持っておくといいですよという売り込みをさらっと提案しているところがTVCMというメディアも手伝って素敵なCMになっていました。

こういう意外な事実が商品特長に直結しているとさらに購買につながりやすくなります。逆に言えば、商品の中の意外な事実を探すことが強力なキャッチフレーズづくりの第一歩であるとも言えます。

これらの方法論も前の限定や質問と組合わせることで、”場合によっては”、効果的になります。”場合によっては”という意味は、商品やメディア、対象によっては、反感を持たれる場合もあるからです。

●法則-5:「もう」で焦らせる

「もう○万人が使っています」「もうすぐ○○の季節です」など「もう」と言われると自分が何かに置いて行かれたのか?という不安が生まれその内容を確認したくなるのです。
ある意味これも脅迫なので、使い方には注意が必要ですが興味を持たせるには効果があります。

これの類似で「まだ」があります。「まだ、○○をお使いになっていませんか?」
裏返せば「もうみんな使ってますよ。あなた遅れていますよ」という言ってみれば少し嫌な言い方です。しかし、それがとても良い情報なら教えてあげることは親切になるのです。

この相手にとって本当に良い情報なのかどうかと言うところが、反感を持たれるかどうかの分かれ道です。

●法則-6:「あるある」で共感を呼ぶ

お笑いのネタと同じですが「あるある」は、共感を得やすい手法です。「朝起きると○○○が○○○になっていませんか?」

これが、世間であまり言われないけど、実はみんな感じているということであればあるほど
興味を引きつけます。だれでも言っていること、世間ではもう周知されていることでは、
インパクトは弱いです。

「え?みんなもそうなの?」というギャップ興味を引きつけます。
これは、言葉のテクニックもそうですが、
その「事実」を解決する内容、つまり商品の効用が必要です。

●法則-7:痛いところをつく

これは、あるあるのカテゴリーでもあるのですが
普段から気にしていることを指摘する手法です。

「良くないと分かっていながら○○○していませんか?」

言われた方は、「そうなんだよね〜。わかちゃいるけどやめられない」と思います。
そこで、これなら解決できるでしょう?と商品を説明します。

人間は「わかちゃいるけどやめられない」ことはたくさんあります。
やめないとどんなに大変なことになるかを教えてあげるのも説得力になります。

●法則-8:どきっとさせる

思いがけない事実を知らせてあげることで人間は興味を持ちます。

「毎日○○○している人の約半数が○○○になります」

え?そうなの?本当?毎日やってるよ?と思ったら、読みたくなりますよね。

これももちろん、そういう事実がなければ使えませんが、こう言う言い方ができる事実がないか探すことも必要です。

例えば知っている人を驚かせようとしたら何を言えば驚くかなと考えます。
その知っている人を告知の対象と置き換えると考えやすいです。

世の中には、ある人たちに重要なことでも一般的になっていない情報は山ほどあります。
健康分野でいろいろな食材がブームになりますがあれらもその現象です。
知っている人は昔から知っているけれども世間ではあまり知られていないというだけなのです。そういう事実を根拠などもあわせて説明してあげるととても説得力のある告知になり、購買へ近づきます。

●法則-9:エンターテイメントする

これはキャッチフレーズで楽しませて読ませる手法で、分かりやすいのはダジャレです。
しかし、昔と違って、テレビの影響やコミュニケーションが発達し、お笑いのレベルがあがっていますので、安易なダジャレはかえって品位を落としてしまいます。

また、ダジャレだけがエンターテイメントでもありません。面白いではなく、楽しいのもエンターテイメントです。本当に面白く楽しいキャッチフレーズのエンターテイメントは「うまいこと言うなぁ」というヤツです。これは成功すれば企業イメージも良くなるという一石二鳥です。それだけにハードルは高いです。

キャッチフレーズは面白いけど、その先は読んでもらえないという場合もあります。単なるエンターテイメントで終わってしまっている場合です。

優れたキャッチフレーズには、商品の訴求ポイントがエンターテイメント化されています。
そういうキャッチは、子供から大人まで、何かの折に触れ普段の会話でも使ってしまったりします。それは、大変効果があるということです。

その言葉を使うときに商品が頭にありますから、常にマインドシェアを取っていると言うことになります。ただ、そういう商品は大手企業の大衆消費財などで効果が大きいものです。また、フレーズは良く覚えているけど、商品は覚えていないという場合もよくあります。あれは、失敗例ですね。

エンターテイメントは、うまくいけば効果は大きいけどなかなか難しいものです。もちろん、商品の特性や市場によってもマッチしない場合もあります。

キャッチフレーズではありませんが、以前商品名で「ぶどうひとつぶどう?」という
ブドウのグミのお菓子がありました。これには、笑ってしまって思わず買いましたし、ことあるごとに面白がって人に話していました。エンターテイメントは、そういう波及効果がありますね。

●法則-10:やたらと長い

キャッチフレーズは短く簡潔にというのが基本中の基本なのですが、その逆を突く手法です。たいていが短いフレーズばかりなので、やたらと長いもので目立つということです。目立つためにやたらと長くするのです。商品名でも最近はそういうものがあります。

これの利点は、目立つと同時に内容を説明してしまえることです。商品名の場合もほとんど中身を説明してしまっています。「群馬の○○さんが毎日早起きして丹精込めてつくった○○」みたいなやつです。キャッチフレースも、とにかく「何を長々と書いてるの?」と思わせるくらいに長くないと目立ちません。

●法則-11:超ストレートに言う

これは禁じ手に近いですがまやかしをなくすという効果もあります。

過去の例では、ウイスキーの広告で「とにかく一度で良いから飲んでくれ」風邪薬で「パブロンを飲んでください」などです。ウイスキー商品の場合は、三番手四番手ブランドであったために美味しいのに告知力やイメージで大手に負けているという状況があったために取られた手法です。

風邪薬は、当時各社があの手この手で告知をし、一体何が本当なのか分からないという消費者の状況に向けてあえてそういった怪しげな理屈抜きに打ち出し目立たせたというモノです。
これは、もちろん、パブロンという商品名がすでに有名であったからでもあります。

ただし、よほどの戦略がないと何度も使える手法ではありません。

●法則-12:素朴に話す

法則としていろいろな手法を紹介してきましたがそれらはあくまで手法であって、興味を引いたり目立ったりする、まずは話を聞いてもらうためのものです。告知の肝心な部分は、商品の特長やお客さんのメリットなどですので、そういったことを素朴にキャッチフレーズに表すことは言ってみれば基本です。

商品が唯一のモノで、お客さんにとって本当に大きな価値があれば、へたなテクニックを使わずとも
その肝の部分を素直にキャッチフレーズに表現するだけで十分引きつけるはずなのです。

しかし、そういった商品は今日はまれでほとんどの商品が、競合にあり、類似する商品はマーケットにあふれています。その中で、少しの差異はなかなか分かってもらえません。
その中でこちらを振り向いてもらうためにいろいろなテクニックを駆使するということですね。

例えば良質のお米をつかったお煎餅なら「昔、おばあちゃんにもらったお煎餅の味」みたいに商品のことをお客さんの感覚になって語ります。こういう場合、ありがちなのが、「特選○○○米使用!」とか「○○○で唯一の○○」とか商品周辺の事実を謳いがちですが、お客さんのメリットが実感として分からず伝わりにくい場合が多いし、イメージがわきません。
「おばあちゃんの〜」というと人それぞれに味のムードがイメージできることと、ドラマがあります。それで興味を持ったり、印象に残ったりします。

●法則-13:コピー無し

これは商品や業界が限定されるし特殊な場合と言えますが一切キャッチフレーズが入っていないケースです。主にファッションなどイメージで伝える商品の場合です。

特に有名なブランドでは、ブランド名しか入っていなかったりします。アメリカのJ・Crewというブランドでは、ある時期ブランド名さえ入っていない広告がありました。

知らない人は全く分からないのですが知っている人は、イメージで分かるのでニヤッとします。そういう、既存顧客やすでにJ・Crewを知っていてあこがれている層を狙ったものだと思います。

そういうちょっとすましたスマートな姿勢が商品価値にもつながるファッションだから通用する手法でもあります。ただ、有名ブランドでなくてもエリアの有名ショップなら、エリア内に出す広告などには使える手法ではないでしょうか。また、企業広告としてもこの手法はアリだと思います。余計なことを言わない自信を表現できます。もちろん、ビジュアルとの兼ね合いによります。

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