レシートの「お返し」について。

言葉というのは時代と共に変化するものだと思いますので、良く言われる若者の言葉の乱れ云々はまったく思いません。まったく意味の分からない高校生言葉も、彼らの中での言わば業界用語なのだと思います。一般社会でも各業界には、独特の言葉があり、一般人には意味が分からなかったりします。しかし、関係者にとっては、合理的に省略してあって使い勝手の良い言葉だったりします。高校生言葉もそういうものではないでしょうか。

しかし、そういうものとは少し違う、勘違いやその他の要因による歪みのような間違った用法もあります。
何かを買ってお代金を払いレシートをもらう。その時に「レシートのお返しです」と言われることがあります。これは、「お返し」という言葉の歪みではないでしょうか。「お返し」というのは、渡したものと同じカテゴリーのものを返す場合に「お返し」であって、お金とレシートは違うカテゴリーのものです。

「おつり」は同じ「お金」なので「お返し」に該当しますが、レシートはお金を払った証拠書類です。レシートは「返す」ものではなくて「渡す」ものです。勘違いされがちですが、支払いを受けた側にレシートや領収を自ら発行する義務はありません。「要求されたら発行する義務がある」だけです。
自ら渡しているのはある種のサービスと言えます。

ですから、支払いに対してサービスをしているのであって「お返し」ではないのです。「サービスを返しているのだ」という声もありそうですが、世の中の「お返し」というのは、何かをしたお礼に同等の値打ちのあるものを返すのであり、またおつりなどは、余分に預かったお金の余分を返金する行為です。

いつの頃からか「レシートをお返しする」という言い方が広まっていますが、なんとももやもやしてしまいます。これも時代と共に定着してしまうのでしょうか?

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