06-何をどう書くか。

商品コピーの書き方

~商品コピーライティングのポイント~

1.売る側ゼロ、お客さん100%で考える

1-1.人間は、どうしても自分の都合が先になる

商品を紹介する際は、まずお客さんを第1に考えながら書く方が良いです。人間は自分の話を聞いて欲しい、自分のことを分かって欲しいものです。だから特に自社開発している商品は、自社のことを語りがちです。しかし、お客さんも自分のことを分かって欲しいのです。まずお客さんのことを分かってあげる(つまりお客さんの事情に寄り添って話をする)ことで、お客さんは信頼感を感じます。人間は自分を分かってくれる人を好きになります。だから、商品コピーもまず分かってくれてるなあと思ってもらえると、好意的に見てくれるわけです。その逆も然りです。

1-2.お客さんの心情を考える

お客さんに寄り添って話をするためには、お客さんの心情を分からなければいけません。そのためには、まずお客さんが誰なのかが明確になっていないと心情を想像することができません。人間は感情で動く動物です。感情的に共感すると理屈よりも強力です。ふと入ったお店の店頭で見つけた商品を思わず買ってしまった経験はないでしょうか。「ステキ!」と思ったら、自分に必要かどうかと言う理屈は関係なく、買ってしまうのです。それが衝動買いです。冷静に考えると買うべきではなかった商品であることが多いです。まず感情的に好意を持ってもらうことは、それほどに重要であるということです。

2.何を書くか

実は、商品コピーは「何を書くか」がとても重要なポイントです。「商品特長を書けば良いのでは?」と思われるかも知れませんが、重要なのは商品特長がが生み出すお客さんへのメリットです。また、何を書くかと共に何を書かないかも重要です。それは何かを隠すというのではなく、お客さんの思考を妨げないためにです。こちらが伝えたいことに関係ない話は書かない方がよい場合があります。

2-1.商品の訴求ポイントを決める

2-1-1.商品特長は「訴求ポイント」ではない

商品コピーというと「商品の特長を紹介する」という風に考えがちですが、間違いです。もちろん、商品特長の紹介も情報として必要ですが、重要なのは、商品が生み出す「お客さんにとってのメリット」です。ベネフィットという言い方もされ、より恩恵を受けることというニュアンスになるとベネフィットなのでしょうが、メリットと考える方が分かりやすいのではないでしょうか。
いくら商品特長を書いてもそれがどのように良いのか(どんな恩恵をもたらすのか)が分からなければ、商品の値打ちが分かりません。訴求ポイントとは、商品特長が生み出すメリット(ベネフィット)なのです。ただ、その話が飛びすぎると響きません。
例えば、時短家電によって生み出されるメリットは「時間が空く」です。それによる恩恵(ベネフィット)としては、自由時間ができることだったり、朝起きる時間が遅くなったり(=睡眠時間ができる)という風に状況設定次第で派生的に広がります。
その恩恵(ベネフィット)こそがお客さんの琴線に触れることだったり、こちらからの提案だったりします。ベネフィット部分だけでなく、メリットから上手に話の流れを作ることが大切です。人間は、ストーリー(ドラマ)がある方が憶えるのです。ベネフィットだけを訴求しても心に響きません。

2-1-2.お客さんは誰か

あちこちで何度も書いているように、お客さんを明確にするということはすべての始まりです。ここが明確になっていないと話を始められません。そしてより具体的にすることで話に具体性と説得力が生まれます。

2-1-3.お客さんが食いつくポイントをつくる

お笑い芸人などの話が面白いのは、話の中に「食いつきポイント」を意識してつくっていて、そこに食いついた人をさらに引きずり込んでいくという流れを作るからです。よく「そこに食いつく?」という様なツッコミを話していることがあります。最近のお笑い芸人は、その辺の裏事情をよく話していますが、彼らはそういう細かい計算をしながらしゃべっています。その辺が素人とは違うところです。素人でも話し上手な人は、そういう話のポイントを作るのが上手です。「食いつきポイント」のない話はだらだらと退屈です。お客さんが何に食いつくのかは、お客さんの心情を考えないと分かりません。商品コピーは心理戦なのです。

2-2.商品特徴を分解する

商品コピーを書くには、商品のことをよく把握できていないと書けないことを他の項目で触れています。特に自社製品だと「良く分かっている」という思い込みをしている場合は多く、点検してみると漠然としか把握していなかったりします。そういうときに、商品をいろいろな視点(項目)で分解してみることが重要です。新たな魅力(訴求ポイントや新たな売り方)を発見したりします。

ファッション用品のように本来の機能より付加価値の方が商品価値であるような商品は、デザインのテイストを分解するとマーケットやお客さんを分類しやすいです。

購入するためにさらに情報が必要な場合は、そこから関連付けて話を続けます。お客さんが、興味を持つような流れ、例えば「さらに効果を高めるには」といったメリットを拡大するような話です。人間には想像力があり想像を広げるのは楽しいことです。想像を広げられるような話は、どんどん期待感(購入意向)を膨らませます。WEBの場合、下へ下へスクロールするので、順に詳しい情報が出てくるのが合理的です。その面で、Amazonのサイトはよく作られています。

2-2-1.マーケットは?

同じ商品でも複数のマーケットに売れるものがあります。例えばカセットコンロは、家庭での利用(鍋パーティなど)のマーケットとアウトドアマーケット(キャンプ、野外活動など)に売ることができます。それぞれに使う人やメリットが異なります。あちこちでお客さんを明確にしないといけないと書いていますが、お客さんを明確にするのは、同時にマーケットを明確にすることでもあります。

2-2-2.用途は?

マーケットやお客さんが明確になるとその商品が購入後どう使われるかの想定ができます。そこでメリットも明確になります。商品のメリットは、実際に使うときに発揮されるわけです。

2-2-3.コピープラットホーム

上記のような分解分類を一定のフォーマットで行うと自社商品の把握がしやすくなります。自社商品の中でのそれぞれの商品の位置づけも明確になります。商品企画の段階で戦略的に行われている場合もあると思います。

こういった一定のフォーマットで商品を分解した資料をコピープラットフォームと呼ばれたりしますが、商品コピーを書く土台の資料として便利です。自社商品を見渡した上でひとつひとつの商品の話をすることができます。コピープラットフォームが完成したらコピーを書く材料が揃ったということになります。

3.どう書くか

書くための材料が揃ったら、それをどう書くかです。総画かというのは、店頭の接客で言えば、どう話すかです。何から話を始めるとお客さんが理解しやすいか。どういう話の流れにすれば分かりやすいか、興味を持ってくれるか。それによっても商品の印象が違ってきます。

3-1.どう言えば、どう思うか

お客さんの思考に従って書くことが大切です。某かのニーズがあり情報を探してたどり着いたお客さんです。何から話をすれば良いか、どう言えば良いかは、そういうお客さんが、どう思うだろうと想像しながら書くと書きやすいと思います。もちろん、あちこちで何度も書いていますが、お客さんが明確に想定できていないとそれができません。

3-2.見て分かることは書かない

分かりやすく書くには、余計なことを書かないことも大切です。そのひとつが写真で見て分かることは極力書かない方がよいです。見て分かるのですから書く必要がありません。商品コピーでは見て分からない事を補うのが基本です。写真と文章で商品の内容がありありと分かるのが理想です。見て分かる情報しか書けないのは、商品の把握’(分解)ができていないということです。

3-3.形容詞を使わない

意外と知られていない広告コピーの基本です。美しい、きれい、おいしいなどの形容詞は、それだけだと漠然としていて良く分かりません。また、美しい、きれい、おいしいは、人それぞれが感じることなので、厳密に言えば商品を買ったお客さんが感じることです。それをこちらから決めたように発信するのは、厳密に言えば押しつけになります。

美しいと書くのではなく、美しさを生み出している状態を描写して伝えることが大切です。「美しい」と書くより「表面の光沢が深紅をより一層際立たせます」と書く方が、どのような美しさなのかが分かります。「おいしい」と書くより「昔、おばあちゃんの家でもらったおせんべいの懐かしい味」と書く方がどのような味わいなのかが分かります。ただし、文章の流れの中で形容詞を挟んだ方がよい場合もあります。それは文章のリズムをつくるためです。

3-4.表現に酔わない

何かを伝えようと表現に凝ると分かりにくくなります。文学的な表現はできるだけ避けた方がよいです。基本は「小学生でも分かる文章」です。

3-5.美文でなくても良い

他の単元でも書いていますが、美文である必要はまったくありません。文章の格調やお洒落な文章などといった文章の演出は不要です。簡潔に分かりやすくが基本。基本的には説明文ですので「小学生でも分かる文章」で良いわけです。

3-6.上品であること

お客さんに向けた文章なので上品であることは必須です。下品に書く人はいないでしょうが、ブログやSNSなどと同じ感覚で書いてしまうと雑になってしまったりしますので注意が必要です。

3-7.言葉遣いの統一について

言葉遣いや表現、言い回しなどのトーンはできるだけ統一した方がよいです。商品によって書き方にばらつきがあると商品コピーの信憑性が損なわれます。例えば、何度が訪れたお店で、店員さんによって言うことが違うと少し不安になりませんか?

商品コピーを複数の人で書く場合は、基本になる文章のトーンや言葉遣いなどをフォーマットなどで共有して書いた方がよいです。たくさんのカタログを作っている大手企業などでは、商品コピーに使う言葉のマニュアルがあります。それには、句読点の打ち方や音引きの仕方、ひらがな、カタカナの使い方や改行する場合の法則等まで決められているものもあります。そうすることで、大量のカタログや広告を作っても統一された言葉遣いになっています。数字なども漢数字で書く場合と算数字で書く場合、全角半角などのルールを統一した方がきれいです。

3-8.漢字とひらがな、カタカナと数字

漢字ばかりが続くと読みにくくなりますので、適切にひらがなで書くなどの配慮はした方がよいと思います。逆も然りです。また、数字なども漢数字で書く場合と算数字で書く場合、全角半角によって見やすさが変わります。


どんな場合にもお客さんの立場で考えて見ることが大切です。

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