料理というのは、食材が同じでも味付けによって値打ちが違ってきます。この法則は、どんな商品やサービスでも同じです。
同じようなよく切れるハサミでも、ある1本はよく切れるだけ。もう1本はよく切れるのは同じだけど、なんか切るときの感覚が気持ちイイとか、そういうことはよくあります。当然後者のハサミの方が気に入ります。
職人さんというのは、そういう味わいを大切にしています。そこが工業製品と違うところです。またそこに価値を見いだすかどうかは利用者にもよります。
しかし、そういう味は、誰しも心地よいものです。
元に戻って、料理は、当然、味の良いものの方が良いに決まっています。人間は、ただ栄養分を採れば良いという生き物ではありません。
(動植物もきっと味わいを感じているのだと思いますが)
工業製品が大量に安くつくられる一方で、そこにはない味を求める人もいます。本当は、そう言う商品こそ、人生を豊かにしてくれるもののはずです。「味気ない」という言葉がありますが、味のない毎日は味気ない毎日です。
「味」は、すべての商品の価値になるはずなのです。商品によって味がどれくらい必要かということもあるはずです。場面によっても違ってくるでしょうし、用途によっても違ってきます。
「味」は、その商品のストーリーにもなります。味がつくられる背景や思いなどがあるからです。逆に言えば、味には、作者や提供者の思いや苦労や背景が込められています。
人間は情報と感覚で、心を動かされます。
価値のある商品づくりやその売り方には、まだまだ伸びしろがあるはずなのです。