ウォルトディズニーは、「ディズニーランドは、子供だけでなく大人も楽しいのはなぜですか?」と聞かれて、「すべての大人がかつては子供だったからですよ」と答えたそうです。
働き方改革は、労働者自らの取り組み方もあるでしょうが、基本的には「働かされている人」の環境改善が主眼です。つまり、経営者の問題です。
経営者の思惑と社員の思惑が一致していないと言うことです。なぜでしょうか。多くの経営者もかつては、社員だった経験があるのではないのでしょうか。その頃にこうだったら良いのにとか、こうして欲しいとか思っていたことはあるはずで、自社の社員さんも同じようなことを思っているはずです。なのになかなか良い環境にならないのはなぜでしょうか。経営者になった途端に社員時代のことは忘れてしまうのでしょうか。あるいはブラックと言われている会社などは、社員時代の不満を晴らすために、社員さんをこき使おうとするのでしょうか。
前にも触れたことがありますが、元ZOZOの前澤氏は、早くから普通とは違う環境を作っていました。昼休みなしの6時間勤務、嫌なことはしなくて良い。その日の仕事が終わったら帰って良い。この働き方で、苦境と言われているアパレル業界でどんどん会社が大きくなりました。
最近話題になった京都の「佰食屋」もランチを100食売り切ったら、片付けをして夕方には全員帰宅するそうです。
大阪府のエビ加工会社のパート従業員は、いつ出勤しても欠勤しても良くて、しかも連絡すらなくても良い。それでもどの会社も成長しています。「連絡すらなくても良い」というのがミソですね。社員さんの連絡するときの後ろめたい気持ちを考慮していると思います。普通なら「連絡だけはしてね」となるのではないでしょうか。
昨今「生産性」が注目されていますが、いろいろな意味で社員さんが喜んで仕事をすれば生産性は自ずと上がると言うことではないのでしょうか。
働き方改革が建前だけになっている会社は、生産性の向上しないし、社員の不満も変わりませんし、離職率も高いだろうし、人材確保も苦労するかも知れません。そういう会社の経営者の方は、ご自身が社員だった頃を思い出して、その立場で働く環境を考えて見てはいかがでしょうか。
また、先の前澤氏は「なぜ8時間労働を疑わないんですか?」と言っていました。そういう、当たり前とされているところを疑ってみる視点も大切だと思います。エビ加工の会社のルールは、普通なら考えられないでしょうが、面白いのは、パート社員は時給で働いているので、出勤しないと社員さんもお金にならないことです。だから、ちょうど良いくらいに出勤するわけです。9年間で誰も来なかった日は1日だけだそうです。「その日は、祝日にする」そうです(笑)
世の中は、低成長になり、デフレになり、IT環境も発達し、どんどん変わっています。しかし、働く環境は、高度成長時代の昭和の頃からあまり変わっていないのではないでしょうか。いろいろな「当たり前」を疑ってみる必要がありそうです。